2015年12月17日の多摩版から、以下抜粋

◆個人の撮影 研究活用へ…極地研・片岡准教授ら

 極地近くで見られるオーロラを映像や画像で観測している国立極地研究所(立川市)などは、一般市民が世界各地で撮影したオーロラの写真を募集するウェブサイト「オーロラ4Dプロジェクト」を開設した。オーロラの詳細な観測が目的で、同研究所の片岡龍峰准教授(39)は「市民参加型の新たな科学研究のあり方を考えたい」と意欲を燃やしている。

 オーロラは極地近くの夜空で、幻想的な光の帯がゆらゆらと舞い踊る不思議な自然現象。太陽から放出される電子や陽子など電気を帯びた粒子が、極地近くの磁場に吹きだまり、複雑な相互作用で発光する。

 帯状に発光して、形が次々と変化する理由など、オーロラには今なお分かっていないことも多い。地球上でオーロラがいつ、どこで、どのような形や色、明るさで発生したかを把握することは難しいという。

 こうしたオーロラの謎を解明しようと、片岡准教授らが着目したのが、一般市民が観光旅行などで撮影したオーロラの写真だ。今のデジタル写真は解像度が高く、時刻が記録される。撮影場所がわかれば、写っている星空から方角も分かるため、アマチュア写真でも科学データになるという。

 同プロジェクトでは、今後、地上から撮影した多数の写真をモザイク状につなぐことで、オーロラの地理的広がりの変化などをより詳細に観測できるようにするという。サイトからは、個人が撮影した写真を投稿できる仕組みになっている。

 片岡准教授は2010年から、世界初の試みとなる本格的なオーロラの3次元立体映像の撮影に取り組んでおり、解説書「オーロラ!」(岩波書店)も出版している。片岡准教授は「今回のプロジェクトで、宇宙と地球のつながりを私たちに見せ、知的興味をかき立てるオーロラの謎と魅力を幅広く伝えていきたい」と話している。

 同プロジェクトのサイトは(https://aurora4d.jp)。